2024.08.15
ATMが、あらゆる手続き・認証の窓口となる世界を創る
皆さん、こんにちは!セブン銀行 STORY of PURPOSE編集部です。 全国のセブン‐イレブンを中心に27,000台以上のATMを展開しているセブン銀行ATMは、2023年9月26日より、新サービス『+Connect(プラスコネクト)』を開始し、第1弾として『ATM窓口』と『ATMお知らせ』を提供しています。今回は『+Connect』開発のバッググラウンドやサービスへの想い、そして目指している世界について、ATM+企画部 部長の柏熊に話を聞きました。
目次
デジタル化する社会を見据え、新しいATMの在り方を探究
―ATMで入出金以外にも様々な手続きができる新サービス『+Connect』をなぜ開発しようと思ったのですか?
柏熊:2015年頃に新型ATMの開発プロジェクトが立ち上がったのですが、その際に“現金の入出金だけではない新たな価値を生み出していきたい”という思いから、構想をスタートしました。
2021年には開発のための調査として、様々な金融機関様にヒアリングを行ったところ、マイナス金利政策に伴うビジネスモデルの変革やコロナ禍など環境の変化の影響もあり、業務の合理化をしようという流れがあることが見えてきました。合理化の手段として多いのは、支店の統廃合やATM台数の削減です。しかし、それにともなってお客さまとの接点も減ってしまうというという課題が出てきます。
そこで私たちは、「金融機関の業務合理化」と「お客さまとの接点を強化する」という2点を両立させるため、セブン銀行のATMを通じてあらゆる手続きを可能にするサービスが必要であるという考えに至ったのです。
ATM+企画部 部長 柏熊 俊克
―金融機関の他にも調査は行いましたか?
柏熊:はい。消費者の方々にもアンケート調査を行うと、「金融機関の手続きをコンビニで簡単にできたらいい」という声が多く集まりました。当社が創業するきっかけとなったのが「コンビニにATMがあったらいいのに」というお客さまの声だったので、新たなサービスを作っていく後押しになりましたね。
ATMをリアルな場からデジタルへとつなぐサービスプラットフォームへ
―セブン銀行ATMがサービスプラットフォームになると考えた理由や根拠を教えてください。
柏熊:理由は主に3つ挙げられます。
- 1.台数の多さ
全国のセブン‐イレブンを中心にした店舗、商業施設、空港、駅などの生活導線上に27,000台以上のATMがあり、どこでも同じ画面・同じ操作性で使うことができます。お客さまはお買い物や通勤・通学のついでに手続きができるのはメリットだと考えました。 - 2.時間の融通性
セブン銀行ATMを窓口にすれば、原則24時間、365日いつでも手続きが可能です。これまで銀行の支店営業時間である平日日中のみしかできなかった手続きに対し、時間の制限をなくすことができます。 - 3.安心感
高度化するフィッシング詐欺や不正ログインなどへの不安で、Webやアプリでの手続きを敬遠しているお客さまにとって、店舗の中に「実在する」ATMなら抵抗なくご利用いただきやすくなります。
また、ATMご利用中にお困りのことがあれば、お客さまサポートに電話することができる点も、安心してお使いいただける要素の一つです。
利用者視点にこだわり、簡単さとシンプルさを追求
―サービスを形にしていく上で大変だったことは何ですか?
柏熊:フェーズごとに課題はありましたが、最も大変だったのは、プロジェクトメンバーの間でサービスコンセプトの認識を共通のものにするということでした。
新サービスを考えるにあたり、より多くの知見や多様な発想を取り入れるために、様々な部署からメンバーが集まったのですが、それぞれの経験業務や立場も違うため、全員が同じ一つのコンセプトに向かうようにするのは大変でしたね。実際、初めに決めたコンセプトに沿って進めていた途中、方針を変えた方が良いということになり、スケジュールを延伸して大幅に練り直しを行うことになりました。
―どのようにしてメンバーの意見をまとめていったのですか?
柏熊:一旦実装のための実務はストップし、コンセプトを練り直すための合宿やミーティングを何度も行いました。考えうる意見を全て出し切り、どこを目指すべきかを突き詰めて話し合いました。
―具体的には、どのような方針変更があったのでしょうか?
柏熊:初めは、サービスの柔軟性・拡張性を重視し、提携先企業やお客さまのニーズに応じてカスタマイズしやすいシステムにするということを目指していました。しかしディスカッションを重ねるうちに、それは提供者視点での考えであることに気がつき、もっと利用者視点でのサービスを作ろうという方向に軌道修正しました。具体的には、「いかに楽にできるか」「ATMの前に立ってから何秒で操作が完了するか」など、簡単・シンプルに使えることにこだわりました。
とことん話しあってコンセプトを決め直したので、そこからは一度もブレることなく、全員の共通認識として進めることができましたね。機能からUI・UXに至るまで、常に「お客さまにとって簡単・シンプルであるか」を判断基準にして進めていきました。
ーその結果、『ATMお知らせ』と『ATM窓口』のサービスができあがったのですね。
柏熊:はい。利用者にとって簡単・シンプルでありながら、金融機関をはじめとする提携先企業の課題として浮かび上がっていた「業務の合理化」「顧客との接点を強化する」という2点の推進にも役立てるサービスになったと考えています。
『ATMお知らせ』のサービス
『ATM窓口』のサービス
柏熊:2023年9月からこの2つのサービスの提供が開始されましたが、徐々に提携先やサービス内容を拡張しています。
あらゆる手続きの窓口となり、新たな日常を生みだしていきたい
―今後ローンチを予定しているサービスを教えてください。
柏熊:直近だと、まずは『顔認証』で本人確認を開始する予定です。カードなしで現金の引出しやチャージができたり、さらにゆくゆくは手ぶらで買い物ができたりなど、より便利な世界を実現できると考えています。 また、『口座振替』サービスの開発も進めています。公共料金やクレジットカードの引落し先の登録・変更なども、これまでは約6割が書面での窓口や郵送での手続きでしたが、ATMだけで簡単に行えるようにする予定です。
―できることがさらに広がっていきますね!
柏熊:はい。私たちは「ATMお知らせ」「ATM窓口」「顔認証」「口座振替」の4つをベース機能と呼んでいます。これらを応用することで、例えば行政手続き、保険の加入、SIM購入や古物売買など、企業の課題解決となり、お客さまにとっても便利な機能を幅広く提供することができます。
機能を充実させることで、ATMがあらゆる手続き・認証の窓口になることを目指しています。
―最後に、今後の意気込みを教えてください。
柏熊:『+Connect』というサービス名には、“人とサービス、人と企業・社会をつなぎ(Connect)、可能性を制約なく多様に広げ(+)ていくことで、新しい日常を生みだしていきたい”と言う想いが込められています。実現に向け、「いかに便利なものを届けられるか」ということを愚直に積み上げていきたいです。お客さまや企業の「あったらいいな」という思いを受けて、私たちができることを増やし、多くの企業に導入いただくことで、お客さま一人一人の日常が便利になっていきます。その好循環を生み出せるようこれからも尽力していきます。
その想いを超え、日常のみらいへ。
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