2024.09.17
金融教育:子どもたちにお金の大切さを伝えたい!セブン銀行×ARROWSの金融教育
皆さん、こんにちは!セブン銀行 STORY of PURPOSE編集部です。
セブン銀行は2023年度から、株式会社ARROWS(以下ARROWS)が運営する「SENSEI よのなか学」を通じて、全国の小学校に金融教育プログラムを提供しています。
今回はなぜセブン銀行が子ども向けの教育に踏み出したのか、学校教育における金融教育の課題や、教材提供が行われるまでの裏側を、プロジェクトメンバーのARROWS 南さん、下村さん、セブン銀行 内田に話を聞きました。
目次
お金の見えないキャッシュレス時代にこそ、金融教育が重要
― 本事業のきっかけは、内田のプライベートにおける悩みでした。2人の小学生の子どもを持つ内田は、普段からお金の大切さをどう教えればいいのかと悩んでいたといいます。
内田:買い物で現金支払いが少なくなり、お金そのものやお金のやりとりを子どもに見せる機会が少なくなりました。その影響からか、お金の大切さを理解していないような子どもたちの様子が見られるようになり、お金の知識をどう伝えればいいか考えることが増えていたんです。
「お金は有限であること」「働いた対価としてお金を手に入れていること」などを伝えるものが“あったらいいな”と思ったのが、この事業のきっかけです。
― “お客さまの「あったらいいな」を超えて、日常の未来を生みだし続ける。”というパーパスを持つセブン銀行。生活の中で見つけた「あったらいいな」を内田はセブン銀行で解決できないか検討していくことにします。
内田:調べていくうちに、金融教育が2022年度から学習指導要領に追加されたと知り、保護者だけでなく先生方も「教え方」に悩みを抱えているかもしれないと気づきました。また、PTA活動を通して先生方の大変さを目の当たりにし、子どもたちへはもちろん、教材を届けることで先生方への一助になればという思いもありましたね。
教材を申し込んでいただいた先生方にお渡しした内田の手紙
内田:加えて、セブン銀行はセブン‐イレブンという小売業から生まれた金融機関。誰もが経験する初めてのお使い、つまりお金のやりとりが発生する場所が小売りの現場。その意味でもセブン銀行が金融教育のお手伝いをする意義があると考えたのです。
セブン銀行 コーポレート・トランスフォーメーション部 副部長 内田万美子
― そんなとき、偶然、高校の同級生だった南さんから耳にしたのがARROWSの『SENSEI よのなか学』。『SENSEI よのなか学』は、国内外をリードする企業とともに完全オリジナルの授業を作って学校の先生方に届けるサービスです。
これまでにも、飲料メーカーと「水の大切さ」、衣料メーカーと「衣料と環境のかかわり」をテーマにした教材など、教科や校種に限らず多岐にわたって開発しています。南さんもまた、セブン銀行であれば小学生の金融教育の入り口にあたる授業教材の提供が最適だと考えていたといいます。
南さん:セブン‐イレブンは、先生はもちろん児童や保護者など誰もが知るコンビニエンスストアで、店内に設置されているATMも子どもたちの認知度が高い。子どもにとって「知っているもの」から学ぶというのはアプローチしやすく、ぜひセブン銀行さんと一緒に教材を作って先生方に届けたいと考えました。
ARROWS SENSEI よのなか学 Chief Editor 南美穂さん
現役の先生とのネットワークを持つARROWSとの教材制作
下村さん:ARROWSは先生方が集うプラットフォームの運営も行っており、全国の先生と直に意見交換できるため、アンケートやヒアリングなどで現場の声を知ることから始まりました。
実際に集まった声は「(先生)自身も金融教育の知識がないので、教え方がわからない」「どういう授業ならお金のありがたみを感じてもらえるか……」といった内容が大半でした。
両社で議論を重ねた結果、子どもたちには「お金の勉強を“自分ごと”にしてもらう」点を軸にし、教材制作を進めることにしました。特に工夫が必要だったのは、「目に見えないお金の大切さを、どう子どもに理解してもらうか」でしたね。
ARROWS SENSEI よのなか学 Creative Editor 下村智子さん
子どもにも好評だった、動画とワークシートによる段階的な授業
― こうして完成した教材は、授業用スライド、短い動画が2本、ワークシート、先生用の台本、概要資料の5つがセットとなったパッケージです。
下村さん:ワークシートは、修学旅行を想定し、全員が同じ額のおこづかいを持っていった場合に、さまざまなお土産やアクティビティから何を選び、お金をどう使うのかを考えるもの。
優先度をつけて選ぶことで「お金を計画的に使うこと」を学べるよう設計しました。ワークショップ形式にしたので、子どもたちも友達と相談しながら自然に気づきを増やせたようですね。
またキャッシュレス決済という「目に見えないお金」の仕組みに対する理解も今回の教育のポイントの1つにしています。
お金は自然に生まれるものではない点、カードやアプリ決済など目に見えるお金でなくともお金の動きが発生する点、その流れを動画でわかりやすく伝えることで、子どもたちも理解しやすかったようです。
ここでもセブン銀行さんの最新ATMに実際に触れ、わかりやすさのために議論した点を、教材に反映できました。
実際に利用した先生の声
― 初回は53人の先生を通じて、約2,000人の小学生に教育を実施できました。実際に教材を利用した小学校の先生に、感想をうかがいました。
先生:小学校のカリキュラムにまだ金融教育がありませんが、本教材は1コマだけなので取り入れやすかったです。お給料が口座に振り込まれ、ATMで引出してカードにチャージするという、望んでいた場面を動画で説明してくれ、わかりやすかった。静止画や私の説明だけでは学びの効果も薄かったのではと思います。
先生:お金に限らず「目的意識を持って計画的に行動すること」は、現代人にとって大切な資質・能力です。それを伝える教材の構成が素晴らしいと思いました。授業後の振り返りでも、「お金には限りがある」というワードを書く児童が多数いました。
実際の授業の様子
内田:当社代表取締役会長の舟竹とともに、実際に授業を見学しましたが、子どもたちが楽しそうにワークに取り組んでいたのが印象的でした。自身の生活の中の気づきが、会社の中で形になり、実際に子どもたちに届く場面を間近で見ることができて嬉しかったですね。
当時の議論を振り返るプロジェクトメンバーたち
将来はより伝わりやすく、より広がりを持った教育を
― 2024年9月からスタートする2回目の募集では、小学生1万人に本教材が届く予定です。最後に、プロジェクトメンバーが今後どのような未来を描いているのか、伺いました。
下村さん:この教材をより多くの子どもに届けたい、というのが第一の思いです。さらに今年は昨年授業を受けてくださった先生の声を受けて、教材をブラッシュアップしています。より満足度の高い教材をお届けできると思います。
南さん:学びを子どもたちの印象に残すには、一度だけでなく、繰り返し何度も面白い授業に出会うことが大切です。そのためには、小学校に限らず、中学・高校でもセブン銀行さんの教材に触れる機会を作りたいと思っています。
内田:将来的にセブン&アイ・ホールディングス全体で、子どもたちの教育支援に取り組んでいきたいと考えています。私たちのグループの特色は、さまざまなジャンルの小売店があり、さまざまなお客さまとリアルな接点を持っていること。赤ちゃんからご年配までに寄り添える企業です。金融に限らず、ほかの教育にもこの輪を広げていきたいと考えています。
終始笑顔の絶えないプロジェクトメンバーのみなさん、会社の枠を超えたチーム感を感じました
その想いを超え、日常のみらいへ。
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