未来を創るATM「+Connect」Interview
あらゆる手続き・認証をコンビニATMで。
ATMプラットフォーム戦略で、誰一人取り残されないデジタル社会づくりに貢献します。
小売業から生まれた銀行として、ユーザー視点のATMサービスを展開
常務執行役員
ATMソリューション部、ATM+企画部担当
深澤 孝治
当社はもともと「コンビニにATMがあったらいいな」という発想から生まれた銀行です。「いつでも誰でも安心して使えるみんなのATM」というキャッチフレーズの下で、ATMというインフラを整備し続け、改良を重ねてきました。24時間365日止まらずに稼働し続けるATMネットワークというのは、簡単に構築できるものではありません。しかし、おにぎり1個の欠品にすらこだわるオペレーションが当たり前のコンビニの世界と同じ発想で、ATMの安定稼働を実現するために独自のネットワークを構築したり、AIを活用したりするなど、さまざまなことに先駆的に取り組んできました。また、画面表示だけでなくキーボードの押し心地や効果音にまで、徹底的にこだわってUI/UXを磨いています。このようにお客さまの利便性や使い勝手を第一に考えるという、小売業から生まれた銀行ならではの姿勢や一つ一つの取組みの積み重ねをお客さまや提携先の企業にご評価いただき、現在のATM事業拡大につながったと考えています。
新たなATM戦略「+Connect」が始動。
あらゆる手続きがコンビニATMで「つながる」時代に
2019年から全国展開を開始した第4世代ATM(新型ATM)は、2024年度末までに日本全国27,000台以上の全台の入替が完了する予定です。この新型ATMインフラがほぼ整ったことを受け、次の段階として、「+Connect(プラスコネクト)」という、世の中に新たな体験と価値を提供するATMサービスプラットフォーム戦略を推進していきます。その第一弾として、2023年9月より「ATM窓口」「ATMお知らせ」サービス※1の提供を開始しました。これまで窓口や対面で行ってきたあらゆる手続き・認証が、セブン-イレブンに行ったらいつでもできる、という世界を築くことが「+Connect」事業構想の柱になっています。
サービス導入に至った背景として、国内では銀行の営業窓口が縮小しつつあります。その代替手段としてネットバンキングやアプリの推進が広がっていますが、ITリテラシーやセキュリティ面への不安などさまざまな課題があります。そこで、生活に近い場所にあり、普段から利用されている当社ATMがその窓口の役割を担うことで、お客さまへの新たな価値提供と、銀行の業務効率化やお客さまとの接点強化を図れるのではないかという発想につながりました。2024年7月時点でスタートから約10か月が過ぎ、サービス導入済みの銀行は9社となりました。導入に向けた契約先の拡大も着実に進捗しています。また銀行だけでなく、カード会社や事業会社などでもニーズがあることがわかっており、すでに複数の案件が進行しています。将来的には保険、行政手続きへの展開も視野に入れています。こうした対面手続きのマーケットは国内で数兆円規模に達するとみており、この数%を獲得するだけでも、かなり大きなビジネスになると考えています。
- ※1「ATM窓口」:銀行口座の開設申込みや登録情報の変更申請などがATMで完結するサービス
「ATMお知らせ」:ATMを利用するお客さまに向けてOne to Oneの情報を提供するサービス
「+Connect」戦略の拡大に向けて
明らかになりつつあり、導入企業さまからはリアルの場での非対面の有用な顧客接点としてご評価いただいています。具体的には、銀行にとってアンチ・マネー・ローンダリングの観点から継続的顧客管理※2や居住外国人の在留期限管理が喫緊の課題となっているのですが、これまで行ってきた郵送やメール、SMSなどの手段と比較すると、「ATMお知らせ」では7~8割とお客さまの回答率が高いことがわかりました。さらに、登録情報の変更が判明した場合にも、「ATM窓口」を利用し、ワンストップで手続きを行うことができます。銀行窓口営業時間外の割合は利用件数全体の7割に上り、ATMでの手続き所要時間は3分程度と、利便性の高さも実証されました。実際に、利用されたお客さまからは、「生活圏内の身近にあって窓口営業時間以外でも都合の良い時に利用できて便利」「簡単な操作で利用できた」と歓迎の声をいただいています。一方で、この取組みはスタートしたばかりです。早くたくさんの方にご利用いただけるように現在、多くの銀行さま・企業さまと導入に向けた会話を重ねております。また、お客さまに知っていただくための各種プロモーションも実施しています。コンビニATMでの簡単・便利な手続きが当たり前になる世界を早く提供できるように、引続き「+Connect」サービスの拡大に注力してまいります。
- ※2継続的顧客管理:顧客の氏名・住所などの本人確認情報や口座の利用目的の確認などを定期的に行い、顧客情報を最新化する取組み
「+Connect」戦略を推進する上でも、やはり大切なのは顧客視点でサービス・企画を追求していくという姿勢です。
社会にも大きな価値を提供する当社のATMプラットフォーム戦略にご期待ください
私たちは当社のATMを「社会で最もやさしいデジタルチャネル」と位置づけています。今後もクレジットカードや保険の申込み、口座振替登録の手続き、ホテルのチェックインなどユニークなサービスを積極的に拡大していきます。それにより、あらゆる決済・手続き・認証を安心して行えるサービスプラットフォーマーとして社会的価値を高め、政府が目指す「誰一人取り残されないデジタル社会」実現の一助になれると信じています。
その上で大切なのは、やはりパーパスにつながりますが、顧客視点を追求する姿勢です。時代や技術進化とともに変化するお客さまのニーズにしっかりとアンテナを張り、UI/UXを磨きながら「あったらいいな」を超えるサービスをスピード感をもって提供していくことが、小売業から生まれた当社の使命だと思っています。生活に近いリアルの場にあるATMだからこそ提供できる新しい便利、新しい暮らしの創出を進めてまいります。またこれらのサービス提供を通して当社の企業価値をさらに高めることを目指してまいります。